【イギリス】「マスターベーションは殺人の次に悪い」「ポルノは悪魔的」 モルモン教会の子供の個別面談に反対論

◆「マスターベーションは殺人の次に悪い」 モルモン教会の子供の個別面談に反対論

末日聖徒イエス・キリスト教会モルモン教)が信者の子供と個別に行う面談で、性交渉やプライベートに関わる質問をしていることについて、信者や元信者が慣行をやめるよう訴えている。
面談は子供が8歳のときに始まるという。

「強い罪悪感になやまされた。してはいけないことをしたから」。
現在27歳のデイビッド・シェパードさんはBBC番組「ビクトリア・ダービシャー」のインタビューでこう語った。
マスターベーションは殺人の次くらいにいけないことだと教えられました。そういうことをする自分は性的倒錯か変態なんじゃないかと感じた」

ロンドン出身のシェパードさんはモルモン教の両親に育てられた。
12歳になったシェパードさんは、地元教区を指導するビショップと呼ばれる聖職者と1対1で面談をした。

面談は、洗礼を受ける年齢に達する8歳の誕生日に1度あり、12歳に再び行われる。
その後は少なくとも1年に1回行われ、大人になるまで続けられる。

■「6時間にわたる尋問」

面談で最も問題視されているのは、ビショップが子供にセックスについて質問する「貞節の律法」と呼ばれるものに関連した部分だ。
モルモン教では、婚外の性交渉やポルノグラフィー、マスターベーションは禁じられている。
シェパードさんは16~19歳の頃に、セックスなしの非常に親しい「何人かのガールフレンド」がいたと話す。

「そのことについて告白することにしたんです。結局それで6時間、尋問されました」
「ビショップたちに『彼女を触ったのか』、『オーガズムにいたらせたのか』などと質問されました。彼女たちに対応するため名前を言うよう言われたことさえあった」
「面談のある時点で、不安から気分が悪くなった私はトイレに行きたいと言ったのですが、許してもらえなかった。まったく自由を失った感じがした」

面談は、子供あるいは10代の若者が年上のビショップと2人だけでドアの閉じられた部屋で行われる。
付き添いも希望すれば認められる。
米国でも議論になったことがあるこの面談をめぐり、信者数が19万人(教会調べ)に上る英国内で賛意両論が出ており、慣習をやめるよう求める声が徐々に高まっている。

「ビショップは人間的には良い人でした」とシェパードさんは話す。
「彼は言われた通りのことをしていたけど、面談は子供の同意があるべきだと思う。(面談が行われる)部屋には誰か別の人がいるべきだ」。
「ビショップは、こんなことをする訓練さえ受けていない」

番組は、10代の頃にに避妊具を使わないように言われたという女性や、ビショップに「ゲイにならないよう祈る」よう言われた男性から直接話を聞いている。
モルモン教会は番組に対し、「どこであろうと、いつであろうと、不適切な行為を強く非難する」とし、「地元の教会指導者たちは、若者との面談について指示を受けており、指示内容をあらためて確認し守るよう求められている」と述べた。
さらに、「親身で責任ある霊的指導者は、親の教えを補強し、霊的な助言を提供することを通じて、若者の成長に大きな役割を果たす」とした。

■ポルノは「悪魔的」

英中部ベッドフォードに住むスティーブン・ブロムフィールドさんは、2011年まで教区の高等評議会のメンバーを務め、現在も教会活動に活発にかかわっている。
ブロムフィールドさん自身は子供の面談をしたことはないが、面談者たちへの助言をしていた。

しかし、ブロムフィールドさんは今、面談はやめるべきだと考えている。
「12歳だったか13歳だったか、私が初めて面談を受けたとき、キスは悪いことで、女の子を好きになるのは悪いことで、触ったりするのは悪いことだと教わった」とブロムフィールドさんは話す。

マスターベーションやポルノグラフィーは「サタン(悪魔)的」だと言われたという。
父親がビショップだったブロムフィールドさんは、1980~90年代にかけての自分の経験を元に、面談でどの程度立ち入った質問がされるのかはビショップによると話した。
「一部の指導者はとてもあけすけな質問をした。(中略)一方でほかの人は自分から告白しなければ聞かれることはなかった。とても恥ずかしく、暴露的で、気の折れる面談になる可能性があった」

BBCニュース 2018/06/29 19:50
http://www.bbc.com/japanese/44653652

※続きます