【日立化成】鉛蓄電池でデータ改ざん500社に納入

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日立化成、鉛蓄電池でデータ改ざん500社に納入
2018年6月29日 16:40

化学材料メーカー大手の日立化成は29日、ビルや工場で使うバックアップ電源用の鉛蓄電池で、顧客と取り決めた品質検査のデータを改ざんしていたと発表した。不正は7年以上にわたり、少なくとも約6万台を500社程度の顧客に納入していた。素材産業では2017年に神戸製鋼所でアルミ・銅製部材の品質データ不正問題が発覚して以降、不正が相次いで明らかになっている。

29日の午後5時から、都内で丸山寿・社長兼最高経営責任者(CEO)が記者会見する。

対象の製品は日立化成の名張事業所(三重県名張市)で製造している産業用の鉛蓄電池オフィスビルや工場、データセンターなどで使われる非常用バックアップ電源向けに販売している。

鉛蓄電池の電圧について、実際に測定した数値と異なる数値を検査成績書に記載していた。電圧を1.8ボルト以上とすることを顧客と取り決めていたが、名張事業所では1.75ボルト以上を合格に含めていた。

社内調査の結果、少なくとも2011年4月から18年6月にわたり、品質データが改ざんされたことを確認した。それ以前については現在調査中で、さらに対象期間や納入企業数が増える可能性がある。

不正が発生した鉛蓄電池の売上高は約50億円で、日立化成が手掛ける産業用蓄電池全体の売上高の約6%に当たる。日立化成は産業向け鉛蓄電池と自動車向け鉛蓄電池の事業を分けて手掛けており、自動車向けは不正の対象となっていない。

名張事業所の事業所長が不正行為を認識したのは18年5月。東京本社の経営陣に情報が上がったのは6月13日だった。名張事業所はもともと、16年1月に日立化成が吸収合併した旧新神戸電機が運営していた。